光のもとでⅠ
「四十五分なんてすぐだな……」
 俺は四十四分になると席を立ち、ソファの脇へと移動する。
 そして、携帯のアラームが鳴る寸前にそれを止め、彼女に声をかける。
「時間だよ」
 軽く頭に手を添えて言えば、
「あ、はい……」
 少し間のある返事をしてゆっくりと身体を起こす。俺はその背に手を添えた。
 こうやって君に触れられることが今の俺の幸せだと言ったら、君は笑うだろうか。
 いや、君は笑わずに顔を赤らめるんだろうな。
 笑うとすれば、俺の素行を見てきた人間たちか。
「少しは休めた?」
「はい。お茶、淹れますね。リクエストはありますか?」
「リフレッシュしたいから、モーニングティーがいいな」
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