光のもとでⅠ
 俺の気持ちはちゃんと届いているんだな、と思うのと同時に、胸が締め付けられる思いでもあり――。
 彼女が淹れるお茶には人を思う気持ちがこめられている。
 沸騰したお湯を少し置くことでお湯の温度を下げるらしい。
 そのお湯を注ぎ、苦味が出ない程度の煮出し時間を経て淹れたものを「どうぞ」と差し出される。
 ひどく熱くて飲みづらいということはない。
 なかなか席に着かない彼女を見ると、彼女は部屋の掛け時計を気にしていた。
 これもいつものこと。
「あと十分。まだ大丈夫だよ。……ここに居づらい?」
「いえ、そういうことではなくて……」
 ありがとう……。
 その言葉で十分。
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