光のもとでⅠ
「今の熱は一日二日休んだところで下がるものではないし、解熱剤で下がる類でもない。かといって、そのまま放置すると日常生活を送ることもままならなくなる」
 カウンター内にいる放送委員の人間までは届かず、このテーブルに着いている数人にしか聞こえない声でそう言った。
「それでもみんなと一緒に作業していたいからあんなに不満そうな顔をするんだ?」
 優太先輩は言いながら閉じられたドアに目をやる。
 不満そう、というよりは大いに不満。そんな感じ。
 でも、本当はまだ、ひとり作業から離れることに恐怖感を持っているのかもしれなくて、自分をお荷物とか足手まといとか、そんなふうに考えて怯えているのかもしれなくて……。
 俺はそのことが気になっていた。
 それは、きっと桃華と司、佐野も同じだろう。
 でも、そんなのは杞憂だから――俺たちは翠葉の体調を優先する。
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