光のもとでⅠ
 お茶で喉を潤し、まだ淡いグリーンを保つ液体から視線を正面に戻すと、口元を押さえ、目に涙を浮かべた彼女がいた。
「っ……どうかした!?」
 思わず席を立ってしまった俺に、「ごめんなさい」と一言。
 すぐにポケットから手ぬぐいを取り出し涙を拭き取る。
 目に手ぬぐいを押し当てたまま、下を向いて口元に力を入れたかと思うと、一度だけゴクリ、と喉が動いた。
 そのあとすぐ、口角を上げて話しだす。
「何度でもって言葉が――」
 声は努めて明るく、しかし、その口角は時折引くつく。
 それは無理をして作った表情だから。
「ここ最近、身近な人たちにたくさん言ってもらっている言葉で――」
 その先を聞くべきだったのかもしれない。
 でも、俺は黙ってはいられなかった。
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