光のもとでⅠ
 まるで首振り人形のようだ。
「良かった、わかってもらえて」
 にこりと笑ってそうは言うけれど、君はちゃんと意味がわかっているのかな。
 俺は自分の伴侶に君を指名しているんだよ。
 生涯のパートナーになってほしいって言ってるんだよ。
 俺の不安定になる気持ちを安定させてほしい、とそう言っているんだよ。
 今、そこまではっきりとは言わないけれど……。
 でも、覚えていてほしいな。
 君が人に必要とされることで心の安定が保てるのなら、ここに君を必要としている人間がいることを覚えていてほしい。
「わ、わわっ――あのっ、心臓がうるさくて――どうしよう……」
 両手を胸もとできゅ、と握りしめ、長い睫をバサバサとさせながら目を瞬かせる。
「全力で逃げちゃいたい?」
「っ……そこまでではっ――」
 咄嗟に俺を見上げては頬を上気させた。
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