光のもとでⅠ
「いい加減学べ――いや、会得習得獲得制覇してこい、バカ」
「……ごめんなさい」
「つらいのは俺じゃないからいいけど……。三十分多く休憩取った分しっかり働いてもらう」
 翠はコクコクと頭を振った。
「阿呆、頭を振るな」
 右手でその動作を止めると、翠の視線は俺の腕時計に焦点を定めたようだ。
 突如、ムンクの叫びみたいな顔になる。
「本当に六時半っ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ。一生懸命やるから起案書取り上げないでっ? あ、それとも……もう作り終わっちゃった?」
 情けない目で俺を見て、いてもたってもいられない、というふうに俺の手をブンブンと振った。
「そんなに必死に請われなくたって取り上げたりしない」
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