光のもとでⅠ
「本当っ!?」
「本当」
「良かった……」
 ほっとした顔をしては、ソファの上であたふたしだす。
「次は何……」
 思わずこめかみを押さえたい衝動に駆られる。
 翠はこんなにも落ち着きのない人間だっただろうか。
「携帯……私、携帯、携帯がない」
 自分の周りや布団の中を捜索しだす。
「携帯はダイニングテーブルの上」
 秋兄がそう答えると、翠は真っ赤になって謝った。
 翠……その赤面の意味は?
 ただ、自分の失態が恥ずかしいだけ? それとも、それ以外――それ以上の理由があったりするのか……。
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