光のもとでⅠ
 そんな俺たちふたりに、
「ほら、仕事に戻った戻った」
 秋兄は部屋から出るように促した。
 作り直そうとしなかったわけ――やれるのにやらない自分。
 これはフォーマットがどうこうという話ではない。
 秋兄は暗に、「なぜ動かない?」と言ったんだ。
 うるさい……俺は俺で動いているつもり――。
 ……つもり、でいただけなのだろうか。
 前に秋兄に言われた言葉が頭をよぎる。

 ――「おまえが好きって口にしない限り、気づかない。そんなこと、司だってわかってるだろ?」

 わかってる……嫌っていうくらいにはわかってる。
 じゃぁ、なんで俺は言わない?
 簾条にも言われた。
 翠が困るから、という理由は現時点では適応しないと。
 翠に異性として意識されたあとの反応が怖いから?
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