光のもとでⅠ
「蔵元ー? 知ってるかもしれないし知らないかもしれない」
「仕事丸投げにしてきたんじゃないでしょうね? 次に会ったときに蔵元さんが老けてたら秋斗さんのせいってことで……」
「俺、使えるものは使う主義なんだ」
 ……しょうがない大人。
「で? 何があったんですか?」
「若槻ー……俺、九歳も下の女の子にことごとく振られたんだけど」
「――マジでっ!?」
「超マジ。っていうかあり得ないでしょ。将来有望の男を振るとか。しかも俺のこと好きなのに」
 思い当たるのは、先日一目二目見た程度の女の子。
「御園生翠葉、リメラルド嬢?」
「そう。リメラルド姫は難攻不落の姫君でしてね……。雅に邪魔されたわ」
「あぁ、あの女ね」
 それにしても少し意外だ。
「あの子、かわいいですよね。見た目が」
「……手ぇ出すなよ」
 じろりとこっちを見た目が本気すぎて怖かった。
 あなた知ってるでしょ。俺が年上専門なの。年下なんて真っ平ごめんだ。
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