光のもとでⅠ
 好きな子の醜い部分っていうのはさ、愛おしく感じてたまらないことがある。
 それに、あれは加納の人間で、あの中で生きてきてるからね。
 人間がきれいなだけじゃないことくらいは知ってるよ。
 あれから二年ちょっとの時間が過ぎた。
 共有できるものが増える幸せを俺は知ったけど、君はまだ知らないのかな。
 見ようとしていないだけなのかな。
 この子の中では、まだ好きと信じるはイコールになっていない。
 でも、揺れてはいる。
 いつもそれがイコールである必要はないと思う。
 ただ、猿のことは信じてもいいんじゃないかな?
 猿は信用よりも信頼されたいのかもしれないけどね。
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