光のもとでⅠ
 その要領で考えるならば、相手が人であっても同じなのかもしれない。
 ただ、目の前の彼女は相手をしるためには「音」を必要とするらしい。
 それなら、猿がどれほど言葉を尽くし、態度に示しても未来永劫伝わらない。
 今伝わっているのは外人が身振り手振りでジェスチャーしたものくらい、といったところだろうか。
 君はもう少し意思の疎通ができるツールを増やしたほうがいいと思う。
 今の君は、日本にいるのにドイツ語しか通じませんと言っているのと変わらない。
 思い切り自分の首を絞めている。
 でも、本当は気づいているでしょう? 言葉を話す「声」が「音」であることに。
「司は――秋斗先生、私が一年の秋の出来事を覚えている?」
 君が一年のときの秋、ね……。
 あれは珍しく学園内がバタバタした出来事だったから覚えてる。
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