光のもとでⅠ
 君はきっといっぱいいっぱいになるまでこういう話は誰にもしないんだろう?
 だとしたら、司に吐き出しに行ったのもそれ一回きりなんじゃないの?
 だとしたら、今相当溜まってるよね。
 いいよ。
 それを全部吐き出させてあげるから……。
 俺も、そのくらいには成長したと思うんだよね。
「逆に、俺が動かなくても司が動かなくても、翠葉ちゃんが動く可能性だってあるんだよ。そう考えたことはないの?」
「だって、あの子は何も知らないし、いつも受身でっ――」
「それ、ひどいんじゃない? 彼女は彼女なりに体験して得てきたものが数多くある。それをそんなふうに言ってほしくはない。それに、『受身』はそんなにいけないことなの? 今の君も俺から見たら十分に『受身』の人間にしか見えないよ」
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