光のもとでⅠ
 蒼樹や若槻が不思議に思って彼女に訊く、ということがあってもおかしくはない数値で、訊くどころか、問い詰めてもおかしくないものだった。
 訊かれた彼女は下手な嘘をついてでも見逃してほしいと願ったのではないだろうか。
 そんな嘘はできるだけつかせたくなかった。
 そう思う反面、蒼樹たちが嘘を見破ってそこで終わりにしたいと思う自分もいた。
 それではだめだ、と思うまでには少し時間を要した。
 最初は過去データの転送をしてこの事実を伏せてしまおうかとも思った。
 でも、そうしてしまうことで片方にしか意味がなくなる。
 双方に意味がないといけない。
 翠葉ちゃんだけではなく、周りの人間も耐えることを知るべきではないか、と……。
 なんでもかんでも止めに入るのではなく、少し様子を見る、ということをできるようにならなくてはいけない。
< 5,224 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop