光のもとでⅠ
 あの湊ちゃんまで過保護に見える今日この頃。
 みんながみんな、あの装置の意味を思い出すべきだと思った。
 彼女が得るはずだった「自由」は今与えられていないと思う。
 それはこの夏の体調が壮絶に悪かったからほかならないけれど、周りの人間は過保護になりすぎた。
 唯一スタンスを崩さなかった人間がいるとしたら、あの男――相馬さんくらいなものだろう。
 今まで彼女の周りにこれだけ多くの人間がいたことはないという。
 周りにいる人間が増える分、心配する人間も増える。
 よって、彼女にはさらなるストレスという負荷がかかる。
 クラスメイトはともかくとして、その他の人間は心配は心配でも言葉や態度に出すことを控えていたはずだ。
 が、それで気づかない彼女じゃない。
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