光のもとでⅠ
「新棟B階段にて男性が九階の知人を見舞いたいと申し出たそうです」
「通してはいないだろうな」
「はい。そのように聞いています」
 報告が済むと、若い警備員は何を言われる前に「報告は以上です。失礼しました」と出ていった。
 次の瞬間、いくつかあるモニターのひとつに見覚えのある男が映った。
 エレベーター内で九階のボタンを押しては首を捻る。
「逢坂サン、残念でした。そのエレベーターはその階から九階へは上がれません」
「今後もこのようなことがあるかもしれませんね。お嬢様の来院時は今の配置に人間を立たせますので、エレベーターの説明は若槻さんからお願いできますか? もちろん、今までと変わらず警備のものは必ずつけますが」
「了解です」
 リィにはまだ大人の汚い部分は見せたくなかったんだけど、オーナーのところで仕事をする以上、どうやっても避けられないか。
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