光のもとでⅠ
『いや……なんていうか……これをあとどのくらい続けるのかと思うと――』
 苦しそうな声が聞こえてきた。
 何かしてあげたいのにできないつらさと、自分に動ける余地があるのに手出しをせずにただ見てるだけのつらさ。
 それらは全然別物だよね。
『本当はさ、蒼樹たちに気づかれないようにバックアップとってあるデータをループして転送しようかと思ってた』
「秋斗さん、俺、それをされていたら今まで築いてきた秋斗さんに対する全部の信用をドブに捨てたと思うよ」
『あぁ、しなくて良かったよ』
「臭いものには蓋を、の典型じゃん」
『そう……。今、翠葉ちゃんだって蓋をしておきたいようなことと向き合っているのに、一番近くでずっと彼女を見てきた人間が蚊帳の外になるのはおかしい。だから、知ったうえで見守る姿勢をとってもらいたい』
 一番近くでずっとリィを見てきた、っていうのはあんちゃんと零樹さんと碧さんだ。
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