光のもとでⅠ
『あぁ、相馬さんが一番に連絡を取ったのは零樹さんだからな』
『……なら、待ちます』
 その一言で、長いとも短いとも言えない通話が終わった。
 あんちゃんがひとり泣いている気がした。
 いつかの俺のように……泣いている気がした。
 俺は土曜日に帰ることになっていたからそれまでリィに連絡を取ることは控え、ただ携帯に表示されるちぐはぐな数字たちに悶々することになったわけだけど、実際、リィを目にしていたあんちゃんたちのほうがもっと過酷だったかな、と少し想像した。

 合宿から帰ってきてすぐ、秋斗さんに連絡を入れた。
 具体的に何があったとは聞かなかった。
 でも、何かあったのは受け答えの調子でわかった。
 それでも、電話に出るということができてるだけ深刻なものではないのだろうというのが俺の判断。
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