光のもとでⅠ
 身体の不調に文句を言わず、ただ自分に付き添う俺や碧、蒼樹の気遣いばかりしていた娘。
「心配ばかりかけてごめんなさい」といつも申し訳なさそうに謝っていた。
 そんなことを気にする必要はない、と何度言って聞かせても言わなくなることはなく、回を重ねるごと、年を重ねるごとに胸が押し潰されそうな一言へ変わっていった。
 言っている翠葉はもっとつらかったのかもしれない。
 つらい、と口に出していいと何度言っても、ただ痛みに耐え、体調不良に涙するだけで、口にはほとんど出さなかった。
 涙を流すのと同じくらい、声にしてくれていいのに。
 痛くても「痛い」としか口にしない。
 ものを食べたくないとか見たくないとか、そういうことは口にしても、今年のように家族を拒絶するようなことはなかった。
 つまり、それほどまでにも翠葉の心は限界すれすれだったのだ。
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