光のもとでⅠ
 ウィステリアホテルの地下駐車場に車を停めると、高速エレベーターで三十九階の唯の部屋へ向かった。
 カードキーを通しドアを開けると、並んだパソコンの端と端に唯と秋斗様が座っていた。
 唯は俺に気づくと、「それそれ」と秋斗様を指差す。
 唯、人を指差すのはやめなさい……。
「秋斗様、お願いですから所在くらいはわかるようにしておいてください」
 俺の言葉に振り返り、
「でもわかるだろ? 俺の行動範囲なんてたかが知れてる」
 悪びれもせず答えるから性質が悪い。
「……わかりますが、これ、本日中に片付けていただかないと困るものです」
 先ほどかき集めてきた資料を見せる。と、
「今若槻の仕事手伝ってるから無理。蔵元やっておいて」
 あぁ……間違いなく確信犯だ。
「できるものならやらせていただきますが、無理ですから。秋斗様がやらないなら唯にやらせますが?」
 俺にできずとも唯にならできる。
「あぁ、それでもかまわないよ」
 やっぱり……どう考えても確信犯だ。
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