光のもとでⅠ
 むしろ、これらが翠葉が理解している部分。
 唯一、納得している部分――納得できる部分。
 高校に上がりたてのとき、紫先生も仰っていた。
「楽しいがゆえに、人と行動できないことがストレスの要因になっている」と。
 それでも俺は外の世界を見せてあげたいと思ったんだ。
『倒れるところまで黙って見ているつもりはありません。ですので、それまでは――』
「話の途中ですみません。お任せしてもよろしいでしょうか。娘を……」
『はい。ただ、数値の変動がもっと顕著に出てくると思います。体温や血圧の上下に加え、頻脈発作も起こすでしょう。その際に飲む薬は循環器内科から処方されているので、彼女は自分で対応することができます。それらを目にしていても大丈夫ですか?』
 これは俺に言っているのではなく、碧に対して、なのだろう。
「碧には私が話します」
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