光のもとでⅠ
「周防~……おまえが今横にいることが、俺はたまらなく嬉しいと思ってしまっているのだが……」
「……自分はなんで上司に抱きつかれているのかが複雑な気分です」
「おお、すまんな。つい」
 笑って周防から離れる。
「うちの子さ、普段脈圧ってものもないんだよ」
「脈圧ってなんですか?」
「あぁ、血圧って上と下があるだろ? その数値の差のことを言うんだ。通常は二十以上あることが好ましいそうだ。それがないと、ドックンドックンって血液を送り出すポンプ力が弱くなる。拍動そのものが弱くなるんだ」
「なるほど」
「頭が痛いっていうのはさ、血圧が上がって上下の差ができて、普段は感じない拍動を頭という部分でより強く感じるかららしいんだよね」
「……なんと申したらいいものか」
 そりゃそうだ。
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