光のもとでⅠ
「――今日の夕方でいいんですよね? ――今ここにいますが? 代わりましょうか? ――はい。秋斗さん、オーナーです」
秋斗様は「なんだろう?」という顔をしてそれに出る。
「仕事か?」
唯に訊くと、
「あー……プライベートな仕事、ですかね?」
と、首を傾げた。
「どうやらお姫さん、オーナーの家に引っ越してくるみたいで、お兄さんのパソコンを実家のものと連動させるのに、色々機材を運び込め、という命令なんですが」
「お姫さんって、翠葉お嬢様のことか?」
「ですです」
それが指すところは体の不調だろうか……。
先日、秋斗様に急ぎの仕事を持っていったとき、その日は検査の日だとうかがった。
「――機材はうちの会社のものを出します。五時は過ぎると思いますが、自分が機材と若槻を送るし、手伝います。――わかってます。ではまた」
なんだか非常に機嫌がよろしそうだ……。
「秋斗様、失恋というのは本当なのでしょうか?」
「悔しいけど事実。でも、諦めてはいないけど」
と、笑みを深める。
翠葉お嬢様、ここに性質の悪いクマがいます。早くお逃げなさい。イヤリングなんか受けとらず、とっとと逃げたほうが御身のためです――。
秋斗様は「なんだろう?」という顔をしてそれに出る。
「仕事か?」
唯に訊くと、
「あー……プライベートな仕事、ですかね?」
と、首を傾げた。
「どうやらお姫さん、オーナーの家に引っ越してくるみたいで、お兄さんのパソコンを実家のものと連動させるのに、色々機材を運び込め、という命令なんですが」
「お姫さんって、翠葉お嬢様のことか?」
「ですです」
それが指すところは体の不調だろうか……。
先日、秋斗様に急ぎの仕事を持っていったとき、その日は検査の日だとうかがった。
「――機材はうちの会社のものを出します。五時は過ぎると思いますが、自分が機材と若槻を送るし、手伝います。――わかってます。ではまた」
なんだか非常に機嫌がよろしそうだ……。
「秋斗様、失恋というのは本当なのでしょうか?」
「悔しいけど事実。でも、諦めてはいないけど」
と、笑みを深める。
翠葉お嬢様、ここに性質の悪いクマがいます。早くお逃げなさい。イヤリングなんか受けとらず、とっとと逃げたほうが御身のためです――。