光のもとでⅠ
 俺の言葉なんて耳に入っていないみたいにデータを遡って見ているようだった。
「……翠は何を服用したんですか?」
 だいたい目星はついてるんだろうな。
 リィが手に入れられるものなんてそうたくさんあるわけじゃないんだから。
 でも、訊かずにはいられない。そんなとこ。
 それは、知っていながら黙認していた俺たちに文句を言うため?
「俺が普段飲んでる滋養強壮剤」
 答えるまでもない回答を口にすると、
「これを知っていながらなんで周りの人間はっっっ――」
 低い声音で話し始め、最後には声を荒げた。
「……ふーん、君みたいな子でも声を荒げたりするんだ。ちょっと意外」
 鋭利な刃物のような視線を向けられるのは想定済み。
< 5,352 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop