光のもとでⅠ
 何より、俺が知っている秋兄の友人付き合いなんて翠葉の兄貴、蒼樹さんしか知らない。
 もとは先輩後輩みたいだけど、もう友人っていっていい付き合いだと思う。
「で、どうなのよ」
 先を促す言葉に、どうやら座って話ができる程度には時間があることを悟る。
 このテラスって場所も普段なら人がいっぱいでこんなにのんびりと話が出来る場所ではない。
 けど、今は紅葉祭前ということもあり、テラスを通る人もどこかしらに目的地を持っているからか、足しげく去っていく。
 視線は感じるけど、いつもみたいにうるさくもしつこくもなかった。
「秋兄、ジュースおごって」
「はいはい、買っておいで」
 コインケースを渡され、それを持って階下の自販機まで走った。
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