光のもとでⅠ
「自分にはスポーツ飲料っと……」
 ボタンを押すと、ペットボトルがガコン、と音を立てて出てきた。
 それを取り出したとき、上のテラスから秋兄の声がかかる。
「俺の分はいらないよ」
「あ、そう?」
 コーヒーって言うかと思ったけど、缶コーヒーなんて飲まなくても仕事部屋に戻れば缶コーヒーよりは数倍美味しいコーヒーが飲めるもんな。
 テラスに戻って、
「いただきます」
 言いながらコインケースを返すと、
「で? 何が面白くないって?」
 満面の笑みで訊かれる。
 あまり話したいことでもないけど、ここら辺で誰かに吐いてはおきたい。
 そのくらいにはくさくさしていた。
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