光のもとでⅠ
「海斗、どれだけがんばって水面下で努力していても、それを見せようと思わない限りは見えないんだ。俺たちは小さい頃からありとあらゆる教育を受けてきて、それらの努力を見せないように振舞うことまで教えこまれている」
 確かに、そう言われてみたらそうだ。
 俺は秋兄や司に比べたらまだまだだけど……。
「表面を繕っているというよりは、無意識なんだよな……。でも、そこから招いた落ち度という結果は、世間様じゃ余裕ぶってたツケ、というらしい」
 ぐうの音も出ない……。
 俺は自分を見ていてほしいがための努力なんて飛鳥に知られたくなかったし、知られないようにしていたわけで……。
 それらが無意識か意識的か、と問われるならば、それは意識的。
 そうとは知らずに俺を見ていてくれる飛鳥に満足していた。
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