光のもとでⅠ
 そう思ったのが顔に出ていたのか、
「否定はしないよ」
 と苦笑した。
「潔いいね?」
 それは正直な感想。
「過去は変えられないだろ。俺にあるのはこれからだけだ」
 どこか憂いを含む表情。
「……聞いたよ。翠葉が秋兄と司の記憶をなくしたって。……いったい何したんだよ」
 桃華から聞いたときはちょっと苛立った。
 あの翠葉に何をしたんだ、と。
 でも、その件に関して俺に情報をくれる人間はいなかった。
 正直に言おう。
 部室にある俺のロッカーは現在閉まらないことになっている。
 なぜならば、俺が力任せに蹴飛ばしたからだ。
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