光のもとでⅠ
「そう、俺は秋兄の弟で藤宮の人間。だから、どうあっても飛鳥は佐野に譲らない」
 言葉にしたら妙にすっきりした。
「なるほど、そういう関係だったわけか」
 そこに携帯が鳴った。
「はい」
 出たのは秋兄。
「わかった、伝えておく」
「……誰から?」
「司。ほら、あそこで不機嫌そうな顔してるだろ?」
 と、秋兄の仕事部屋を指す。
「おまえが携帯も持たずに出ていったまま戻ってこないって。プリンターのインクを取りに俺の部屋に入ったら見えたらしいよ」
 げっ――。
 司が腕時計を指差しにこりと笑った。
 まだぶすっとした顔をされているほうが平和だったのにっ。
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