光のもとでⅠ
 笑うし受け答えもまとも。それでも、人に交わろうとすることはなく、自分の考えすらその場に合わせて順応するタイプの子だった。
 意識してそうしているのか、無意識なのか、そんなこともわからないようなつかみどころのない子だったのに……。
 翠葉ちゃんや御園生の家に関わるようになって劇的に変わってきていることは知っていても、それまで刹那的に生きてきた彼からは考えられないような言葉の数々。
 人って、変わるのね。――変われるのね。
 そう思うと、その場の会話には加わらず、見守りたい気持ちになった。
 話の内容からすると、ものすごく真っ直ぐな子だということがわかる。
 自分がどんなふうに生きてきたのか、どんなふうに自分を扱ってきたのか、そういったこともちゃんとわかっていて、それを認めたうえでこれからどうしようか、という考えを口にしていた。
 この子、秋斗くんに見つけてもらえて良かったんだわ……。
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