光のもとでⅠ
 窓際にあるドレッサーの上には秋兄と同じ香水のボトルと、翠が先日俺に見せてくれた香水のボトル。
 そのほかには俺がプレゼントした柘植櫛がふたつ並べられており、葉をモチーフにした陶器のトレイにはゴムに通されたとんぼ玉が置かれていた。
 そして、出所が予想できなくもない小物入れ。
 きっと秋兄からのプレゼントであろうアクセサリーケース。
 同じ場所に互いのプレゼントがあるというのはなんだか複雑な心境だ。
 翠の記憶は、時折パズルピースのように思い出すことがあるという。
 ブライトネスパレスへ行ったときは、一シーンとして思い出したことを異様に驚いていた。
 この先もそんな思い出し方をすることがあるのだろうか……。
 それとも、中途半端に記憶が戻らないままなのだろうか。
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