光のもとでⅠ
 ――俺がナーバスになるな。
 一番戸惑っているのは翠だ。
 ふと、ドアの向こうに気配を感じた。
 きっと翠だろう。
 そう思ってこちらからドアを開いた。
 ドアの外には両手にコップを持った翠が立っていたけど、この状態でどうやってドアを開けるつもりだったんだか……。
「何やってるんだか……」
「……なんでわかったの?」
 今、翠の頭にはいくつの選択肢があるのだろうか。
 答えは「気配」だけれど、俺は適当な答えを口にする。
「戻ってくるのが遅いと思っただけ」
 これで納得するんだから、やっぱり翠の猜疑心は誰かが責任を持って育てるべきだと思う。
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