光のもとでⅠ
「何……?」
「えっ、あ――喉仏だなってっっっ」
 ……は?
 自分の喉仏に手を移動させ、確認するように触れる。
 確かに喉仏だけど……。
「別に珍しいものじゃないと思うけど?」
「うん、そうだよねっ、珍しくないよねっ。蒼兄にも唯兄にもあるしっ」
 翠はうろたえて見せるけど、その意味がわかりかねる。
 何当たり前のことを言っているのか……。
 挙動不審だったのも束の間、勉強を始めるとあっという間にその世界へどっぷりと浸かった。
 しかし、今日やる範囲の予習復習の終わりが近づくにつれ、翠は眉間にしわを寄せ始めた。
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