光のもとでⅠ
 司くん、君もぜひこの会話に参加しようじゃないか。
「でも、翠葉ちゃんの歌うものって恋愛ものが多くない?」
 俺が軽やかに質問を繰り出すと、彼女はきょとんとした顔をする。
 彼女の答えを待つべくしんとした場に、一際冷ややかな声が発せられた。
「優太、作業に集中しろ」
 ほかの誰でもない司のお言葉。
 でも、こんな釘の刺され方もそろそろ慣れてきた。
「お返事は?」
 翠葉ちゃんの顔を覗き込むと、
「これ、恋愛の歌だったんですか……?」
 俺は高度な反撃を食らった。
「マジでっ!?」
 咄嗟に訊き返してしまったが、彼女はいたって真面目に答えている。
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