光のもとでⅠ
『ツカサの声が聞けたから少し落ち着いた。お風呂でもリラックスできるような精油をチョイスしたにも関わらず、緊張はとけなかったから』
 天然鈍感バカはこういうときずるいと思う。
 俺は少し速まった鼓動を落ち着けようと、デスクの上に置いてある時計の秒針を目でじっと追っていた。
「緊張して眠れなかったとか、洒落にならないから。とっとと睡眠導入剤でも使って寝ろ」
 携帯の向こうで明らかに笑った声がした。
「何……」
 まるで今の俺を見透かされている気がして、いつも以上に素っ気無い声を発してしまう。
『ううん。今日、同じことを相馬先生に言われてきたの』
 あぁ、相馬さんが言いそうなことだな。
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