光のもとでⅠ
「若槻くん?」
声をかけてみたものの、彼はじっと翠葉を見ている。
見て取れるのは"緊張"。それ以外の言葉が思いつかない。
なんだ……?
「若槻」
秋斗先輩が声をかけると我に返ったようだった。
しかし、まだ翠葉を凝視したままだ。
確かに翠葉の顔色は悪いし痩せてもいるが、ここまでびっくりされるほどではないと思う。
やっとのことで口を開いたかと思うと、
「あー……俺、あっちの設定確認してきます」
と、廊下の奥へと見えなくなった。
まるで拒絶するかのような彼の態度に、
「蒼兄……私、何か悪いことしちゃったかな」
翠葉が不安を口にした。
翠葉がそう思っても仕方のないような態度だった。
けれどもその声を否定したのは秋斗先輩。
「違うよ」
「でも……」
「……若槻はね、妹さんを亡くしてるんだ」
その言葉に、俺も翠葉も息を呑むことしかできなかった。
妹を亡くした……?
「まだ、そのときの衝撃から抜け出せてないんだ。だから、翠葉ちゃんが何かをしてしまったとかそういうことじゃないんだよ」
翠葉の顔が見る見るうちに歪んでいく。このままじゃ泣く――。
そう思った次の瞬間には目から涙が零れていた。
声をかけてみたものの、彼はじっと翠葉を見ている。
見て取れるのは"緊張"。それ以外の言葉が思いつかない。
なんだ……?
「若槻」
秋斗先輩が声をかけると我に返ったようだった。
しかし、まだ翠葉を凝視したままだ。
確かに翠葉の顔色は悪いし痩せてもいるが、ここまでびっくりされるほどではないと思う。
やっとのことで口を開いたかと思うと、
「あー……俺、あっちの設定確認してきます」
と、廊下の奥へと見えなくなった。
まるで拒絶するかのような彼の態度に、
「蒼兄……私、何か悪いことしちゃったかな」
翠葉が不安を口にした。
翠葉がそう思っても仕方のないような態度だった。
けれどもその声を否定したのは秋斗先輩。
「違うよ」
「でも……」
「……若槻はね、妹さんを亡くしてるんだ」
その言葉に、俺も翠葉も息を呑むことしかできなかった。
妹を亡くした……?
「まだ、そのときの衝撃から抜け出せてないんだ。だから、翠葉ちゃんが何かをしてしまったとかそういうことじゃないんだよ」
翠葉の顔が見る見るうちに歪んでいく。このままじゃ泣く――。
そう思った次の瞬間には目から涙が零れていた。