光のもとでⅠ
 視線の先にあるテーブルにはいつもよりふたり分多く食器が並んでいた。
 静さんも一緒に朝ご飯なのかな?
 そんなことを考えていると、「翠葉、おはよう」と後ろから蒼兄に声をかけられた。
「おはよ」と挨拶を返すと、お母さんに唯兄を起こしてくるように頼まれた。
 唯兄は珍しくお寝坊さん。
 一緒に暮らし始めた最初の頃は昼夜逆転の生活が普通だったけれど、私が退院してきてからというものの、唯兄はとても規則正しい生活をしていて、ほぼ毎朝キッチンに立っていたのに。
 今朝はキッチンにお母さんの姿しかなかった。
「どうしたのかな?」
「さぁ、いつもなら俺が帰ってくる頃には起きてるんだけどな。着替え取りに行ったときもまだぐっすり寝てたよ」
 唯兄はちょっとやそっとのことでは起きないタイプ。
 でも、逆に寝坊をするタイプでもない。
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