光のもとでⅠ
 お姉さんの名前を口にした唯兄は、何かに手を伸ばした。
 宙を彷徨うその手はしだいに私の方へと伸びてくる。
 その手を私は両手でそっと包んだ。
 次の瞬間、びっくりするくらいの力で握り返され、手首を掴みなおした唯兄に引き寄せられる。
「ゆ、唯にっ――!?」
 咄嗟に声をかけたけれど、唯兄は起きない。
 唯兄は半ば身体を起こした状態で私の背に両腕を回す。
 私は右手をベッドマットにつくことで何とかバランスを保っているものの、このつっかえ棒がなくなったら唯兄の上へ落ちてしまう。
 唯兄は華奢だけれど、私より目に見えて身長は高い。
 それなのに、どうしてか小さい子に抱きつかれている感覚に陥った。
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