光のもとでⅠ
 嫌な夢でも見てるのかな……。
 それとも幸せな思い出を夢に見ているのだろうか。
 判断はしかねたけれど、起こすことにした。
 何せ身動きが取れないし、つっかえ棒を担っている右腕の限界も近い。
「唯兄、私、翠葉だよ。朝だから起きよう?」
 左手で唯兄の肩を揺すってみるものの、起きる気配はない。
 その行動を何度か繰り返したあと、自分の顔の近くにあった唯兄の頬をつついたらようやく起きた。
「……すい、は……? え? ……あ、わっ、リィっっっ!?」
 順を追って覚醒しては身を引き、羽毛布団を抱えたまま壁まで後ずさる。
 ガツ――と、背中が壁にあたる音がした。
 痛そう……。
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