光のもとでⅠ
「ごめんっ。俺、何か変なことしなかったっ!?」
「えぇと……お姉さんの名前を口にしていたのと、唯兄の手を取ったら、こぉ……ぐわっと引き寄せられてちょっとびっくりした。……でも、それだけだよ?」
「そう……なら、よかった……。いや、よくないか!?」
 唯兄は頭を抱えて唸っている。
「……なんか、嫌な夢見た……?」
「いや、そういうんじゃない……かな」
 どうしてか苦笑が返ってくる。
「心配しなくていいよ。ほら、リィは今日家出るの早いんでしょ? 急がなくちゃ――って俺が早く起きろって話か……」
 今度は、ゴツ――と頭が壁に当たる音がした。
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