光のもとでⅠ
「だ、大丈夫っ!? すごい音したよっ?」
 唯兄は後頭部を壁に預けたまま天井に視線をやり、深くため息をついては目を瞑る。
「五分……いや、七分ちょうだい。シャワー浴びたらすぐ行く」
「うん、わかった。じゃ、先に食べてるかもしれないけど、お母さんにも伝えておくね」
「ん、お願い」
 そう言ってから目を開けた唯兄は、私と視線を合わせてにこりと笑った。
 その笑顔は作られたものだとわかるけど――。
 どうしてかな……?
 私はその笑顔を見てほっとしてしまった。

 ダイニングへ戻ると、背の高い人たちが増えていた。
 みんなが立っていたから余計にそう感じたのだろう。
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