光のもとでⅠ
「やっべ、表出ねーと……」
 焦って立ち上がった海斗くんはやっぱり背が高くて私は見上げてしまう。
「背、やっぱり高いね? 海斗くんの頭のてっぺんなんてめったに見れないよ」
「くっ、何それ。俺の頭のてっぺんてそんなに貴重?」
「うん、貴重」
 答えた瞬間、「あ――」と海斗くんがインカムに意識を移した。
 けれども、私には何も聞こえてこない。
 不思議に思っていると、海斗くんはリモコン操作の末に、「今話したよ」と口にした。
 個別通信、かな?
 今話した、ということは相手はツカサ……?
 すると、私のインカムにも電子音が流れ、リモコンのディスプレイに個別通信のチャンネルを伝える数字が表示されていた。
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