光のもとでⅠ
「海斗たちが戻ってきたから、私クラスに戻るわね」
 そう言って図書室を出ていった。
 何か気になる。
 なんだろう……。
 モヤモヤする気持ちの悪さの正体を知りたくて、今は開いたままの自動ドアを振り返る。
「どうかした?」
「あ、久先輩……」
 気づくと、私の隣には久先輩が並んでいた。
 どこか憂いを含んだ表情で。
「……先輩?」
 何かありましたか、と訊こうと思ったら、いつもの笑顔で制された。
「久が抜けたね? 罰則何にしようかなー?」
 なんて言いながら人が行き交う出口へ向かう。
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