光のもとでⅠ
「きっと大丈夫だよ」
 朝陽先輩は、さっき私が見ていたように図書室の出入り口を見やり、すぐ私に視線を戻した。
「だから、翠葉ちゃんも仕事しようか? 俺ね、司の冷たい視線にロックオンされるのだけは避けたいんだ」
 のんびりとした口調でテーブルの方へと戻っていった。
 朝陽先輩はツカサとは違う意味でマイペースな人なのかも……?

「翠葉はチケット誰にあげたの?」
 作業片手に嵐子先輩に訊かれる。
 現在テーブルに着いているのは私と海斗くんのほかに、ツカサ以外の二年メンバー三人。
 朝陽先輩はこの場の指揮を任されていることもあり、放送委員が使うカウンターとこちらのテーブルを何度も行き来していた。
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