光のもとでⅠ
 それに、家族や先生ならGPS機能を使えば私がどこにいるのかはわかるのだ。
 何かあって私が出向かなくてはいけないのならインカムから通信が入るだろう。
 ツカサはしばらく黙ったまま携帯を見ていた。
「これを俺が持っているからといって、翠が自己申告しないのは違うと思うけど?」
 そうきたか……。
「わかってる。でも、ツカサは数値で私の状態がわかるでしょう? それを持っていたら、顔を合わせるたびに私に訊く手間は省けるよ」
 このバングルは、私が体調不良を口にしないということをきっかけに作られた装置だという。
 そして、これをつけることで蒼兄たち家族は少しの安心を得ることができたのだと教えてもらった。
 発作が起きた時には心配の種にしかならないけれど、今は――。
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