光のもとでⅠ
 言われて、思わず頬に手を当てたけど、本当はそんなことをしなくてもわかっていた。
「うん……。火照ったみたいに熱い気がする……。でも、内緒にしておいてね?」
 顔だけではなく、声も情けない。
 香乃子ちゃんはふふ、と笑った。
「ここ、機材が置いてある都合上、空調の温度設定も低めのはずなんだけどね。……大丈夫! 翠葉ちゃんも負けず劣らずかわいいから! ほら、行っておいで!」
 背中を押された勢いで、とと、と数歩前に出ると、ツカサが気づきこっちに歩いてくる。
 斜め後ろから見ていたツカサが、今は真正面から歩いてきているのだ。
 気持ち的には二、三メートル先で、「ストップ」と声をかけたいところだったけれど、それも言えずに目の前まで来られてしまう。
「嵐が翠からコサージュ受け取れって言ってたけど、それ?」
「あ、うん。これ……」
 手に持っていたコサージュを差し出す。
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