光のもとでⅠ
 演奏を終えた都さんと神楽さんは中央の昇降機に移動し、
「翠葉ちゃん、楽しんでね!」
 都さんの言葉が言い終わると同時に昇降機が下がり始めた。
 私は茜先輩に手を引かれ、ピアノの前へと移動した。
 ピアノの上には未開封のミネラルウォーターがふたつ。
「少しお水飲んで落ち着こうか」
 茜先輩とやっと目が合わせられた。
 けれど、いつもの茜先輩なのか少し戸惑う。
「翠葉ちゃんは本当にわかりやすいね……。いいな、そういうの」
「茜先輩……?」
「ほら、まずはお水一口!」
 胸元に押し付けられたペットボトルを勧められるままに口にした。
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