光のもとでⅠ
 液体が喉を通り胃に落ちるところまでしっかり体感する。
「あとで時間ちょうだい? 私ね、ずっと翠葉ちゃんと話したいと思っていたの。……いい、かな?」
「……はい」
「今は歌を歌おう? 翠葉ちゃんの声が、想いが人の心に届くように――想いをこめて弾くわ」
 にこりと笑うその表情は、雲ひとつない空のようだった。
 けれど、それが本物なのか――と、気になる自分がいる。
 私たちがこんな話をしている間は飛鳥ちゃんのトークが館内に響き、周りを気にする必要は全くなかった。
「司の歌が終わればフォークソング部のステージに移るわ。そのあとは軽音部。まとまった時間が取れるから、その時間を私にちょうだい」
 そう言うと、茜先輩は前奏を弾き始めた。
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