光のもとでⅠ
 茜先輩がどんな話をしようとしているのかは想像もつかないけれど、それでも話してくれるということに安心した。
 何かおかしいと気づくまでに時間がかかり、さらには声をかけるタイミングすら計れなかった。
 もっと言うなら、声をかけていいのかを悩むくらい、いつもと違う雰囲気を纏っていたと思う。
 茜先輩に何が起こっているのか、知らないから知りたいわけじゃない。
 苦しそうに見えたから、だから――。
 みんなに、やさしい花を……。
 茜先輩の心にも白い花が届きますように――。
 吸い込んだ空気はひんやりと感じた。
 私の発する声には温度があるかな。私の歌には想いが乗るかな。
 それはみんなに届くかな……?
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