光のもとでⅠ
「でしょう? 音楽祭だって指揮者に逃れる人間だよ」
「それ、とってもツカサらしいです」
 思わず、笑みが零れる。
「さ、会場ですよ。姫君」
 朝陽先輩の向こう側に会場が広がる。
 外に出ると、中で聞いていたよりもダイレクトに音が耳に届いた。
 音が、振動が、そのまま肌に伝ってくる。
 間奏に入ると、ツカサはマイクスタンドを傾け後ろを向く。
 本当……茜先輩が言ったとおりだ。
 ライブステージが提案されたときはあんなにも嫌がっていたのに、いざステージに立たされればこんなことだってできてしまう。
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