光のもとでⅠ
 なんか、嫌……。
 何かって、何……?
 ううん、何かなんて考えたくない……。
 やっぱり私の頭はとても都合よくできているのだと思う。
 でも、今はそのことに感謝したい。
 さっきツカサとした会話を思い出すことで、自分の中にある得体の知れない感情から意識を逸らすことに成功した。
 ツカサが今、私を見ていることに意味があるとしたらこれだけ。
 その理由は――。
「ツカサ、ひどいっ。何も緊張してるからって、わたしのことを野菜扱いしなくてもいいじゃないっっっ」
 ツカサはさっきこう言ったのだ。
 ――「ステージに上がったら観客はみんなイモやカボチャ、そこらに転がってる野菜だと思えばいい」
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